ready forクラウドファンディング達成映画「はたらく」全国ロードショー!!一足先に鑑賞させていただきました。
先日ready forにてクラウドファンディングを達成した、ロゴスフィルムによる映画「はたらく」。
自閉症の方に仕事として俳優をやっていただき、働くこととは何かについて考える、というコンセプトに強く興味を抱き、私もクラウドファンディングに参加しました。
見事に目標を達成し、映画「はたらく」がついに明日から全国公開されます。
クラウドファンディングのリターンは映画観賞券だったのですが、映画館に赴くのが難しい人向けにオンデマンド視聴コードがリターンとして贈られました。
私は日本で映画館に行くことができないので、オンデマンド視聴コードを希望し、
全国ロードショー前に鑑賞させていただきました!!
(あらすじ)
映画監督のさいとうは自閉症を持つしょうへいに新作映画「はたらく」の主演を依頼し、しょうへいは快諾する。監督としょうへい二人での映画撮影をするための練習が始まるが、しょうへいにとっては難しいことが多くなかなかうまくいかず、映画撮影が実際にできるのか心配を抱える監督。困っている監督に一緒に練習をする俳優仲間が与えられ、本格的(?)に映画撮影のための練習が始まる。しょうへいは映画俳優としての仕事を全うすることができるだろうか?そして本番の映画撮影に入り、どのような作品が完成するのだろうか?
・・・ロゴスフィルムHP「はたらく」作品紹介ページより引用
映画前半から中盤にかけてしょうへいさんと監督たちが映画作成に向けて、しょうへいさんと俳優としての演技の練習に取り組みながら、作品づくりを模索していく姿が描かれ、終盤で完成したショートフィルムが映画の中に盛り込まれているという、メタフィクション形式のドキュメンタリーです。
監督は映画製作業の傍ら、福祉職にも従事されており、しょうへいさんのようなケースをお持ちの方について理解がある方です。
支援者として「自閉症の人はこうである」という前提を抜け出し、自閉症を持つ人と一緒に映画づくりに取り組む姿はとても興味深かったです。
しょうへいさんのようなケースの方は、私も今ベルリンで通ってる施設で沢山見てきたので、正直「おいおい大丈夫か」と思う場面もありましたし、監督も作品中で自問自答されています。
映画が進むにつれ、自閉症についてどのようなものか知っている私自身が、前提に捉われていた事に気づかされ、ハッとさせられました。
私のような知識のある人間が、色々見知って分かっているがゆえに、障害のある人達に対する前提を勝手に作り出し、その枠に彼らを当てはめていたことに気付かされたのです。
作品では皆それぞれが奮闘する中で、しょうへいさん、俳優陣がお互いに対する理解を深めて各々が成長する姿が見られます。
また、作品を通じて「働く」ことの意味について考えさせられます。
お金をもらうために働くのか
食べるために働くのか
しんどい事を我慢することが働くことなのか
生きがいを感じることが働くことなのか
社会に参画し人と繋がる事が働くことなのか
自身が輝くことが働くことなのか
働いているという意識を感じるために働くのか
答えは各々で見つけるものだと思うし、私自身もはっきりとした答えを見つけきれていません。
しょうへいさんが慣れない俳優業に取り組もうとする姿、
監督や俳優陣がしょうへいさんを巻き込んで映画づくりをする姿、
それぞれから働く事とは?と考えさせられますし、
私は何より、しょうへいさんの笑顔が「はたらく」ことの意味を物語っている。そのように感じられてなりません。
最後にしょうへいさんは、俳優とは?と聞かれ、「仕事です」と答えます。
結果的にそう言わせただけじゃないか、という議論も起こるかもしれません。
ただ、私はそういう問題提起を起こす事自体に意味があると思います。
重い障害をもつ人を社会に巻き込んでいく事は、彼らにとって多少スピーディーすぎることである場合が多々ですし、ピアサポートの視点を欠いてしまう場合もあるかと思います。
ただ、だからといって、この課題を置きっぱなしにしていいのでしょうか?
答えを出すのが難しい問題だからこそ、多くの人からの考えや意見を求める価値があるし、社会問題の解決はそうやって成されていくのではないでしょうか??
私は重い障害を持つ人を社会に巻き込んでいく事に可能性を感じています。でも、その原石を掘り起こす方法がまだ分かりません。
だから、多くの人に関心をもってもらい、様々な視点から意見を聞きたい。
それが大きな動きの力に繋がるかもしれない。そう強く願っています。
最後に、私個人がここから感じた事は、言ってることはさておき、本人がとても満足そうな顔をしているし、俳優として仕事をし、作品において欠かす事のできない存在感を示すことができた。
もうそれだけで十分じゃないかな、とも思ったりするのです。
映画「はたらく」、多くの人に鑑賞してもらえたらと思います。