時代が動く瞬間〜ベルリンの壁を訪れて感じた事
まだ寒かった2月の終わり頃に書いていた記事です。
ベルリンにいるのもあと1か月ほどになった時、最近になりベルリンの壁に対して興味が高まってきていました。
そうして、ようやく重い腰を上げてイーストサイドギャラリー行ってきました。
例の有名なキス。写真のギャラリーも一番多かった。
ずらーっと壁に絵が描かれているだけという印象です。正直なところ。
こういう試みは素晴らしいけど、あんまり心にズシっとしたものは感じられなかった、というのが当時見た感想でした。
[追記 2018.10.3]
後になって、イーストサイドギャラリーは「過去の歴史を引き継いで未来に繋げるために、これからも共存していく。決して忘れない。」という負の歴史に対して向き合う態度の1つであるのだと理解できました。
ただのコンクリートの壁を手付かずで残すだけでなく、これからの未来を担うアートという名の可能性を描くキャンバスにしていく。
そのキャンバス自体は負の歴史そのもの。その負の歴史にこれからどう未来を築いていくのか…
とても面白く素晴らしいコンセプトだと思いました。
そして、その次の週末に行ってきたのがWall Memorial Park.
ベルリンの壁が建てられた直後から廃駅になったU-Bahnの駅がいくつもあり、そのうちのひとつNord Bahnhofの駅構内に、当時のU-Bahnにまつわるエピソードの展示がされています。
廃駅だった駅は再度利用再開され、今も普通に健在。
普通の駅扱いなので当然入場無料です。見ごたえ結構あります。
ベルリンのいいとこって、こういう古びた駅を下手にリニューアルしないところだよねーと思ってたのですが、よくよく考えたらリニューアルする必要がないからしないだけなんだろうか、と思ったりしました。
だって建物自体はちょっと古ぼけた雰囲気だけど、普通に使えるし。
んで、そのまま向こうの広場には当時壁があった通り沿いで、壁がそのまま残ってたり、壁がかつてあった並びは鉄骨を立ててモニュメントとしています。
隣のだだっ広く、向こうの駅までずっと続く広場全体がメモリアルパークです。
めちゃ寒かったけど天気が良かったこの日は、寒さにも関わらずそこそこ観光客が集まっていました。
かつて墓地だったところをぶち抜いて壁を建設しちゃったところでもあります。
かつて墓地で眠ってた人への慰霊の十字架。
これは壁を越えようとして亡くなった人の名簿。奥に写ってるのは顔写真がはめられたモニュメント。
これは当時隣接していたアパートの跡。
ここから飛び降りて壁を越えた人が沢山いたそうで、中には飛び降り失敗して亡くなった人もいます。
そのうちアパートは東ドイツ当局によって取り壊されました。
しばらく道沿いを歩くと、記念館があります。
外観写真撮るの忘れた。
中は2フロアに渡る壁を巡っての変遷のパネル展示です。
戦後のベルリンを巡る米ソ対立、東ベルリンから西ベルリンへの人口流出によって東側が大打撃を受け、最終的に物理的な包囲網をもって人口流出を食い止めるに至った流れが写真とともにあります。
当時を知る人のインタビュー映像もあります。
ちなみに無料公開です!まぁパネルと映像しかないから維持費もそんなにかからないのかな…まぁパネルとかしかないし、確かに有料にすると人は来なくなりそう。。
実際に当時の写真を見れる機会が今まであまりなかったので、結構見応えある!と私は思いました!
更に屋上へ行くと、通りの向こう側に、当時の壁の様子を再現したエリアが見下ろせます。
件の墓地の一部も奥に見えます。
んで、一番すげーと思ったのは、壁がついに崩壊する瞬間までの日々を追った数分の映像。
ライプツィヒやチェコで民衆が蜂起し、東ベルリンでもものすごい人数のデモが起こり、ついに根を上げ往来不可とされていた東西ベルリンへの往来規制緩和が成され、そのまま民衆が壁へ押しかけ、ついに壁が崩壊するという流れでした。
昔カップヌードルのCMで使われてたあのシーンもあります。
【CM 】日清カップヌードル『ベルリンの壁/ジョンレノン篇』
本当に民衆の力が勝ったんだなと、軽く鳥肌を覚えました。
ものすごい数の人たちが集まって、こんなのおかしい!!と訴え、ついに世界の構図をひっくり返すほどになってしまった。
もちろん、時代の流れが後押しした結果なのだろうけど、人が時代を作ったのか、時代が人を作ったのか、どっちなんだろう。卵が先か鶏が先か、みたいに考えてしまいます。
今の時代、民衆がこんなに熱を持って蜂起する事が起こるのだろうか、いや起こらないだろうなぁ、かなしいかな色々管理される時代になってしまったし…なーんて考えてたんですが、そんなわたしの考えは間違ってた事に気づきました。
大きな動きがインターネット上、主にSNS上で起こって、世の中を変える息吹になろうとしている動きを最近いくつも目にします。
待機児童問題、#MeToo、過労死問題、
そして私がここを訪れた当時一番大きな話題になっているのがアメリカ高校生による銃規制デモ。
放置されてきた暴力の根源に立ち向かおうとする高校生をサポートする力がついに大企業まで巻き込んでいっている。
これは本当に時代を変える動きになるかもしれない。
今まで何度も凄惨な銃乱射事件が起こり、そのたびに銃規制の声が上がっていたのに、その声は一切拾われなかった。
けど、今回は違う。
最近起こってるMeTooムーブメント。不条理な目に遭わされても、もう黙って泣き寝入りする必要はない。
傷ついてる事を正当に訴える事。その1つ1つの声が磁石のように集まり、ひとつの大きな力になろうとしています。
その動きに後押しされて、もう銃による暴力で泣き寝入りするのはまっぴらだと言う民衆の声が集まりました。
また、ベルリンの壁崩壊と、今回のアメリカ銃規制において共通する点は、双方ともあからさまな敵対する存在がある事。
体制側や権力に対して民衆の声が働きかける構図は同じなんじゃないかなと思います。
ベルリンの壁崩壊も、時代が前に進んだ瞬間でした。
今回のアメリカ高校生銃規制デモも、時代が進む瞬間になる予感がしています。
Power to the people!!!