Hurra! Hurra! Hurra!

デンマーク、ドイツ、アジアバックパッカーを経て感じた事や体験談を発信します。また自分の専門である障害者福祉に関連した発信もどんどんしていきます。

服部みれい求人炎上騒ぎにあたって思う事ー働く事、時間、お金に対する私の考え

今、安上がり寄り道紀行中ですが、急遽この記事あげる事にします。

 

編集者・作家の服部みれいさん。

 

マーマーマガジン、冷えとりなどで一部で名を知られており、コアなファンも沢山おられます。

そんな私もマーマーマガジンがきっかけで冷えとりを始めた1人。

最近は方向性が変わり、マーマーマガジンも読まなくなりましたが、昔がよく読んでて大好きでした。

 

なぜかアマゾンで発見!

マーマーマガジン 第17号

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  • 作者: 服部みれい,『マーマーマガジン』編集部
  • 出版社/メーカー: 株式会社エムエム・ブックス
  • 発売日: 2012
  • メディア: 雑誌
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 これがきっかけで冷えとり始めた方も多いのでは!?

冷えとりガールのスタイルブック (ナチュリラ別冊)

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そんな彼女が自身の運営する出版社mmbooksのブログで出した求人広告のその内容により炎上しました。

 

ネット上では既に終わった案件のようですが、2日前に登録しているマーマーのショップからのメルマガで今回の炎上騒ぎについて知り、

どうにもモヤモヤした思いが頭から拭えず、記事にしました。

 

詳しい経緯はこちらの記事を参照。

 

netgeek.biz

 

ネットでかなり叩かれたようですね。

「働かせるくせに金払えとはどういう事だ」

「ひどい搾取だ」

みたいな感じで。

 

そりゃ過労死、パワハラ、更には高プロなんかで、人々が被雇用者としての権利に対してかなり敏感になっている時期です。

あの求人募集を見て怒る人も多いのも当たり前です。

 

 

ただ私がここでやりたいのはみれいさんを一辺倒に非難する事ではありません。

 

みれいさんのあの求人は正直マズかったと思いますが、みれいさんの働く事に対する思いはなんとなく理解できます。

 

わたしらしく働く!

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働く=賃金労働と結びつける考え方は労働者を守るために勿論必要だと思います。

ただ、それ一辺倒になってしまうとお金のためだけに働く人生になってしまう。

 

働く事を自分にとって有意義な時間の使い方として捉える事。働く事を「自分を活かす機会」と捉える事。

この考え方を賃金労働と同居させる事は可能ではありますが、残念ながら今の現代社会において必ずしも皆ができている事ではない。


お金を支払って仕事をするというのは、仕事を通じて得られた有意義な「時間」や自分を活かす「機会」を得られた事に対する対価であると私は理解しました。

試用期間の間に仕事を通じてそれを見出すことができるか、それが彼女が応募者に課した採用試験でもあるのかもしれません。

 


ただ、彼女の言葉のチョイスがちょっと不味かったかもしれません。

試用期間ではなく、たとえば「有料の有償ボランティアを経た上での採用」といったような言い方をすればここまでの騒ぎにはならなかったかもしれません。


ボランティアであれば、そこに強制という認識はなく、「ただ自分がやりたいからやってる」という純粋な動機の元での行動となります。

誰かが言ってたけどお金を払ってでもみれいさんの元で働きたいという人はおそらく沢山いるだろうから、たとえ有料であっても人は来てくれると思う。

 


ただ、試用期間であれど雇用関係の元でお金の支払いを促すような発言するとなると、これは雇用主による強制、下手をするとパワーハラスメントに発展しかねるケースに繋がります。

みれいさんがそのような事をする、しないという意思に関わらず、そこに雇用関係が発生している以上、いくら自由意思での支払いとは言え、強制力が発生します。

ご本人にそのような自覚がなくとも、パワーバランスを考慮すると、強制されているという相手側の思いはゼロではないと私は思います。

そして、そこにたとえ一ミリでも「強制されている」という意識が発生した瞬間から、それは「搾取」になってしまうのです。


お金を支払っていただく、というのは応募者からの純粋な自由意思でなくてはなりません。

「満足した分本人が納得できるだけの金額を支払う」との事ですが、雇用主と被雇用者という関係である以上、お金という形で還元を求める促しをしてはならないと思います。

それぐらいお金というものは敏感なものである、と私は思います。

 


だからといって、じゃあ完全に時間制賃金労働がいいのかというと、先程述べたようにこれも私は個人的には、、、、なところです。

時間も労力も惜しまず、好きなだけやりたいだけお金も気にせずに、それこそ生活の一部として存在する仕事があるというのはとても貴重で幸せな事なのだと思います。まして家族のような同僚達に囲まれているならば尚更です。


私自身、世間から見れば所謂ボランティア搾取のような職場で勤務した経験がありますが、ある時点から自分が搾取されているという意識が全くなくなりました。

なぜなら、それが純粋に私のやりたい事に変わったから。誰かの役に立つ事が私の喜びになり、私をどんどん活かして育ててくれた。

勿論しんどかったら休みますし、了解してもらえる職場環境です。(ただ、しんどいと正直に言えるようになるまでの関係づくりにかなり時間はかかりました)

強制力が発生する仕事や時間枠に対しては賃金が発生し、それ以外の自由意思とみなされる部分(すなわち残業や休日を利用した仕事)は自分次第。賃金も発生しません。

ひどい搾取に見えるかもしれません。分かっています。

私は強制される仕事にはお金が保証してもらえるから納得できた。

それ以外の自由意思のボランティアはまぁある程度強制力はあったものの、自分に対するチャレンジとして捉えていました。


「やらされてるからやるのではなく、やりたいからやる。」

人の動きはそこで大きく変わります。

能動的になり、自分の頭で考えて判断できるように変わっていく。

やらされてると誰かの指示に従うだけなので自分で考える力を失ってしまう。「お金と時間の奴隷」に成り下がってしまいます。

時間制賃金労働の問題はそこに大いにあり、うちの前職もそこを危惧している節がありました。みれいさんが働き方に対して危惧している点もそこなのだと私は理解しています。

実際彼女の職場は賃金発生しているいないに関わらず、休みたい時には休息を取る事ができるといった、自分のペースで働く事ができる場所のようです。

だからこそ、「自分の頭と心で判断できる人」が必要なのですね。

 

勿論先程も述べたように、時間制賃金労働の元で自分のやりたい事を能動的にやる事は可能です。

でも、その両方を100%完全に同居させている人はかなり稀であると私は思います。

少なからず多少の強制力の元で皆仕事に従事しています。

 


彼女は自分の理想と世の中の現状や現実に対するバランスをイマイチ失っていたのだと今回の件で私は感じてしまいました。

残念ながら世の中の多くの人(おそらく私を含め)が時間制賃金労働の奴隷と成り下がっている、というのは否定できませんが、

とは言え、時間制賃金労働は、これまでの日本で一般的であった家族的な経営において、勘違いした酷い雇用主から被雇用者を守るために必要なボーダーなのであると私は理解しています。

 

インドを旅していて出会った人たちの中には、とても良い雇用主に恵まれ生き生きと働いている人がいました。

逆に、おそらくこの人は雇用主から搾取されている、と感じさせるような人も沢山いました。

インドの仕事の九割は個人経営だそうです。だから何もかもが個人の塩梅。被雇用者を守るルールなんて存在しない。そもそも仕事にありついてる人だって貴重なんだから、それぐらい我慢しろ、というのがインドでの現状なのがしれません。

 

まぁインド人はしんどかったら相手に対してきちんと噛み付く事ができる国民性ですが、日本人の場合それができる人はあんまりいないですよね。

だから逆らえずしんどくなり追い込まれるまで働く羽目になってしまう。

先程述べた私の職場でも、しんどいけど言い出せない状況に追い込まれた人で辞めていった人は沢山いました。

 

 

みれいさんがそんな雇用主とは思いませんが、しかし雇用主と被雇用者の間にはパワーバランスが少なからず存在します。新人であれば尚更です。

だからいくら自由意思とは言え、立場上反論するのが難しい立場にある被雇用者から、本来純粋な自由意思であるべきのお金(お布施や寄付に近い感覚かもしれないですね)の支払いを促すのはマズイと私は思うのです。

雇用主は、相手がどのような人であろうと、その人から見た自分の立場がどのようなものなのかを常に意識しておかなくてはなりません。

 

ニッポンの労働者の多くは皆怒っています。

でも一方で時間制賃金労働の元、自分が時間とお金に囚われて、自分で考える力を失っている事に気付いていない人も多い。

しかし、時間制賃金労働の枠は酷い雇用主から労働者の権利を守るために必要…

といった矛盾した状況で今回の炎上は起こったのかなーと私は理解しています。

 

あたらしい移住日記

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みれいさんは自分の理想に向けて思い込んだら一直線のような人だからこそフォロワーもついてくるのでしょうが、、、

私個人的には、心の中でいくらぶっ飛んだ考え方をしていたとしても、誰かに自分の考えをシェアするに当たっては地に足のついた言葉で話ができる人の方が好きです。

かのブッダも、どんなに学が無い人に対しても非常に分かりやすく明瞭に物事を説明できる人だったらしいです。目指すはブッダですね。

どんなに「働く事」に対して真剣な思いを寄せていた上での今回のあの求人だったとしても、今回彼女は少し世の中の認識に欠けてて言葉足らずだったかなと、少し辛口な言い方で私はそう思います。

 

 


まぁ人はいつでも安定しているわけではないので、今回の件は彼女にとっての毒出しだったのでしょう。


ただ、この後ツイッターもやめてしまうみたいだし、

自分が見たいものだけを見て自分の世界を作り上げる人になっていくのかなーと私はなんとなく感じました。(新聞もテレビも見ない人みたいだし)

まぁ誰もが皆自分が見たいものだけを見て(それが良いものであろうと悪いものであろうと)、自分の世界を作っているのですがね。


彼女はある時点から編集者というよりアーティストになっていっているので、それはそれで良いのかもしれないです。

ただ、ネットで見かけたどなたかが言っていた事でもあるのですが、会社を背負っている以上はそんなフワフワした彼女のバランスを取れる周囲の人間が必要なのかもしれないですね。

 


人間、塩梅が大事です。時には苦味や辛味も必要。

私は食べるものでも出会う人でも自分の人生でも、時には軽くスパイスや苦味でパンチ効かせてる方が好きです。

 

あたらしい自分になる本 増補版: SELF CLEANING BOOK (ちくま文庫)

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自由な自分になる本 増補版: SELF CLEANING BOOK 2 (ちくま文庫)

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